ミックスを依頼する際は必ず、頭出しされた状態の音源が必要です。しかし「頭出しって何?」と困惑される方も多いですよね。そこで今回は、ミックス依頼の際に必須である、頭出しについて解説します。
頭出しとは?
頭出しとは、複数のトラックのタイミングが合わされた状態でファイル書き出すことです.
歌ってみたを例にすると、カラオケ音源に合わせて、歌トラックの歌っていない空白部分も含めて書き出します。
頭出しされていると、ミックス師がDAW(音楽編集)で受け取ったファイルを読み込んだときに、どの位置で再生したときでも、カラオケ音源と歌がぴったり合っています。
頭出しの方法自体は非常に簡単です。
頭出しの例
頭出しについて、例を挙げて解説します。使用DAWはProToolsですが、GarageBandやStudio Oneなど、どのDAWでも原理・原則は同じです。
まず、歌の録音を終えたばかりの、下記のようなカラオケ音源と歌のファイルがあるとします。
画像1
歌のリージョンが複数個に分かれていますが、ミックス依頼に出すときは、頭出し+1つのリージョンに結合する必要があります。
上記のファイルを書き出す前の完成形が下記の状態です。
書き出し前の完成形
分かれていたリージョンはもちろん、頭の空白部分もしっかりリージョンとして結合されているのが分かります。
元の空白部分が↓
リージョンで埋められています。この状態でオーディオファイルとして書き出し、ミックス師に渡します。ファイルの渡し方は下記の記事で詳しく解説しています。参考にして頂けると幸いです。
頭出しのやり方
頭出しのやり方はいたってシンプルです。こちらも画像1を例に解説します。
- step1未編集のカラオケ音源が1番左端(ド頭1小説目)の状態であることを確認
- step2歌リージョンを全選択し、ルーラーのカーソルを1番左端(ド頭1小説目)までもってくる
つまり、カラオケ音源のスタートポイントと同じ位置まで選択します。
- ラベル歌リージョンを結合
これでOK。カラオケ音源と同じ位置でしっかり頭出しされています。
頭出しをしなかったらどうなるの?
ではなぜ頭出しが必要なのかを解説します。下の画像は、画像1から1つのリージョンに結合だけして頭出しをしていない状態です。
悪い例
この状態で歌を書き出し、歌とカラオケ音源のオーディオファイルをミックス師に渡したとします。
すると、ミックス師側でオーディオファイルを読み込むと下のような状態で読み込まれます。
頭出しされていないファイルをミックス師側で読み込むと、、
このように、頭の空白部分を無視してリージョンの先頭が1番左端にきてしまうので、カラオケ音源とずれてしまいます。
歌全体が前にズレこんでしまうので、本来あるべき位置に歌がきていません。この状態で再生すると、カラオケ音源がAメロなのに歌がBメロというに、全然違うところが再生されてぐちゃぐちゃになってしまいます。
頭出しされていれば、ミックス師側で読み込んだときにこういったトラブルにならず、下の画像のように録音時と全く同じタイムで読み込まれます。
良い例
頭出しされていない状態のミックス依頼は絶対におすすめできない
頭出しをされていない状態でも、ミックスができないわけではありません。ずれた部分を手作業でカラオケ音源に合わせればいいからです。
しかし、頭出しされていない状態でミックス師に渡すのは、やはり絶対におすすめできません。
その理由は、ミックス師の手間がかかるという以上に、実際に歌い手さんが歌った状態で再生できないことです。歌い手さんの、あえてリズムをずらすような歌い方やタイム感、しゃくりなどのクセ・表現が全て台無しになってしまいます。
歌以外の楽器も必ず頭出しをしてから書き出す
歌以外でもドラム・ベース・ギター・キーボードなど、楽器を含むミックスを依頼するときは、必ず全ての楽器を頭出ししましょう。
歌ってみたの場合でも、コーラス・合いの手や歌が重なる部分で追加されたトラックなども、全て頭出しが必要です。
まとめ
今回はミックス依頼で必須の頭出しについて解説しました。慣れてくると、結合だけして頭出しをうっかり忘れてしまうことも多いです。この記事を参考にしていただき、皆様が気持ちよくスムーズにミックス依頼できたら幸いです。