宅録DTMerにとって防音問題は悩みの種ですよね。スピーカーや楽器の音・歌が原因で、ご近所とのトラブルが心配な方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、個人でも導入しやすい防音対策について紹介します。少しでも音漏れを防ぎたいという方は必見です。
個人でスタジオ並みの防音はほぼ不可能
個人で、ある程度の防音対策はできますが、スタジオ並みの防音は期待できません。あくまでも、導入コストを抑えつつ、現状から少しでも音漏れを防ぎたいという方におすすめです。ドラムなどの爆音や振動が強い楽器には、本格的な防音工事・リフォームが必須になります。
また、部屋の広さや建築材などによっても効果が大きく変わるのでご注意ください。
宅録におすすめの防音方法
ここでは、個人でも導入しやすいおすすめの防音対策について紹介します。なお、細かい設置方法などは省略しています。
「石膏ボード」を使う方法
費用と防音のバランスが良いとされるのが、石膏ボードを使った防音対策です。石膏ボードは、内壁・天井に多く使われている建築材料であり、防音効果が期待できます。ホームセンターなどで手軽に購入でき、安価で優れた遮音性・耐火性・防火性などメリットが多いです。
石膏ボードを使った防音対策のポイント
- 壁から15mm程度離して設置する(壁に直接貼り付けると防音効果はほぼなし)
- 壁と石膏ボードの間に吸音材を挟み、石膏ボードの上に遮音シートを貼ると効果アップ
- 石膏ボード同士は隙間なく設置する
石膏ボードでの防音対策は下記のサイトでとても詳細に記されています。是非参考にしてください。
石膏ボードを使う際のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
・価格が安い ・施工がしやすい ・耐火性・防火性に優れている | ・本格的に設置するならフレームを作る必要があるのでDIYの知識・技術が必要 ・一般ゴミではなく産業廃棄物扱いなので基本的に処分が手間・有料 |
石膏ボードは、安価で遮音性が高いのがメリットです。しかし、壁に直接貼っても防音効果はほぼないので、壁から少し離してしっかりと設置するためにはフレームを作る必要があります。
それらの材料費などを合わせると金額は上がるので、安く済ませるには、アイテムや部屋の形などを活かした取り付け方法のアイデア次第と言えます。
「吸音材・遮音シート」を使う方法
音を吸収する吸音材と、音を通さないことを目的とした遮音シートを組み合わせて使う方法です。吸音材と遮音シートは、どちらも単体では防音性能が期待できませんが、組み合わせることで防音対策ができます。筆者も導入している防音対策であり、効果を実感しています。
吸音材は裸状態だとウールがちくちくするので、下記商品のようなクロス貼りされているものを選ぶと良いでしょう。
吸音材
遮音シートはハサミやカッターで簡単にカットできるサンダム CZ-12がおすすめです。
遮音シート
吸音材・遮音シートを使った防音対策のポイント
- 吸音材のサイズにカットした遮音シートを貼り合わせて枚数分の防音ボードを作る
- 防音したい壁・窓に隙間なく敷き詰めていく
- step1吸音材の大きさより縦・横各2mm程度小さく遮音シートをカットする
吸音材からはみ出さないよう、ほんの少し小さくカットするのがポイントです。
- step2吸音材の裏面(クロス貼りされてない方)にカットした遮音シートを貼る
吸音材の裏面にボンドを塗り、遮音シートの布面を貼り付けます
- step3遮音シートがずれないようボードの周囲を布テープで貼りつけます
見た目を気にするなら、画像のように吸音材のクロスと同じ白の布テープがおすすめです。
- step4しっかりと固定されているのが確認できたら完成です
画像は防音ボードの裏面(貼り付けた側)です
価格を抑えて壁に防音ボードを貼り付ける方法
ここでは特別なフレームを使用せず、価格を抑えて防音ボードを取り付ける方法をご紹介します。賃貸でも可能な方法です。
- step1防音ボードの裏面の四隅に強力な両面テープを貼る
固定力を強めるなら四隅だけでなく、広範囲に使用すると良いでしょう。
- step2両面テープのフィルムを剥がし、両面テープ粘着部分にマスキングテープの粘着側ではない方を貼り付けます
壁に直接両面テープを使うと、のりがべったりついてしまうので、壁と直接触れ合う部分はマスキングテープにします。マスキングテープは、両面テープ部分より少し大きめにカットするのがおすすめです。
- step3防音ボードを下から順に枚数分壁に貼り付けます
防音ボードは横向きに積み上げた方が安定感があります。
- step4積み上げた防音ボードが倒れないように突っ張り棒で固定する
テープだけでは安定感に欠けるので、床から天井までをカバーできるサイズの突っ張り棒で積み上げた防音ボードを押さえつけるように固定します。
- step5画像のように固定できれば完成です
固定に使用するアイテムです。
強力両面テープ
マスキングテープ
突っ張り棒
吸音材・遮音シートを使う際のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
・窓や狭いスペースなど部分的な防音がしやすい ・吸音材によって部屋鳴りが軽減できるので、音質の向上が期待できる ・設置が比較的容易 | ・広い壁一面に敷き詰めるなら高額になる ・必要枚数分の防音ボードを作るのが面倒 ・防音性能はやや低め |
防音効果だけでなく、音質の向上が期待できるのがメリットです。一方で、防音性能とコスパの面で劣ります。防音が必要ない壁には、吸音材だけ使用するのがおすすめです。
どの防音方法であっても窓は塞ぐのがおすすめ
筆者が実験してみたところ、壁よりも窓からの音漏れが圧倒的に大きいことが分かりました。集合住宅で隣人への影響が心配な方は隣接する壁の防音対策が必要ですが、外に漏れる音が心配な方は、窓を塞ぐのがおすすめです。
筆者は下記画像のように、窓を防音ボードで雑に塞いだだけですが、これだけで外に漏れる音量は半分以下になりました。(※あくまで筆者の家の場合なので、全ての環境で同じ効果が得られるわけではありません)
そのほかの防音対策
ここまで紹介した以外にも多くの防音対策があります。予算に余裕がある方は検討してみるのもおすすめです。
組み立て式防音ユニットを設置する
部屋の中に省スペースの防音ユニットを設置する方法です。賃貸やコストを抑えつつ、しっかりと防音したい方に適しています。
本格的な防音には防音工事・リフォーム
本格的な防音を希望される方は、防音工事が必要です。高い防音効果が期待できますが、金額はかなり跳ね上がります。ドラムの練習向けでは数百万円かかることもあるので、個人での導入はあまり現実的ではありません。
賃貸の方は、最初から防音対策がされているマンションを選ぶのもおすすめです。
まとめ
今回は宅録での防音対策について解説しました。自分は音響エンジニアではないので、防音の専門的な観点はありませんが、確かな効果を実感しています。この記事を通して防音に悩むDTMerの方々に少しでもお役に立てれば幸いです