【歌ってみたミックス】ボーカルがオケに馴染まないときの対処法

テープシュミレーター コラム・雑記
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歌ってみたのミックスをご自身でされる方の中には、ボーカルが浮いて聞こえる・抜けが悪いなど、オケに馴染まないことでお困りの方は多いのではないでしょうか。あの手この手を使っても、なかなか思うように馴染まないですよね。今回は歌ってみたミックスでの、ボーカルがオケに馴染まないときの対処法をご紹介します。

この記事はこんな人におすすめ
  • 自分でミックスをしたい
  • ミックス時にオケに対してボーカルが浮いてしまう
  • ボーカルとオケを馴染ませるプラグインが知りたい
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ボーカルがオケに馴染まない主な原因と対処法

ボーカルがオケに馴染まない理由はさまざまで、複合的な問題でうまくいかないことも多いです。ここでは、ボーカルがオケに馴染まない主な原因をご紹介します。

ミックス以前の録音環境による問題

ミックス以前の録音時の影響でボーカルが浮いてしまうことがあります。レコーディングスタジオなどではなく、宅録の場合は部屋鳴りなどの反響音・ノイズを多く集音してしまうことが多いです。それら不要な音が邪魔をしてオケとの馴染みを悪くしてしまう可能性があります。

「iZotope RX」シリーズをはじめとした、ノイズ除去プラグインである程度は取り除くことが可能です。しかし、ボーカルの音そのものにも少なからず影響が出てしまうので、録音段階でできるだけ部屋なりやノイズの少ないデッドな音を録音しましょう。

宅録の防音・音質向上はこちらの記事で詳しく解説しています。参考にしていただけると幸いです。

ダイナミクスがオケと合っていない

ボーカルが浮いてしまう原因の1つにダイナミクスがあります。ダイナミクスは、音の強弱表現のことです。歌ってみたの場合、伴奏は完成したカラオケ音源1トラックであり、大抵の場合ダイナミクスがしっかりと処理されています。

ダイナミクスが綺麗に整えられたオケに、ダイナミクス処理がしっかりされていないボーカルが入るとボーカルが浮いてしまうことが多いです。ボーカルのダイナミクスの処理には、主にコンプレッサーを使用します。

コンプレッサーを使用すれば、音が大きく飛び出したところを抑えてダイナミクスのムラを軽減することが可能です。オケのダイナミクスに合わせて、ボーカルのダイナミクスも適切に調整しましょう。

注意

コンプレッサーは闇雲にかけると音が潰れて埋もれてしまうので、かけすぎに注意してアタック・リリースなどの各パラメータをしっかりと調整する必要があります。

ボーカルの音量が大きい

シンプルに、ボーカルの音量が大きくて浮いて聞こえることがあります。歌ってみたの場合、ボーカル処理に大半の時間を費やすため、全体像が見えなくなってついついボーカルが大きくなりがちです。参考音源を用意していつでも聞ける状況にし、適度に聞き比べるとよいでしょう。

部分的に大きく・小さく聞こえる場合は、オートメーションを書いて自然にするのがおすすめです。

ボーカルのピッチ・リズムの補正が足りない

ボーカルの音色やダイナミクス以外が原因でオケから浮いてしまうことがあります。それが、ボーカルのピッチ・リズムのズレです。カラオケ音源は、基本的にリズムなどの補正がしっかりと行われていることが多く、その中でボーカルだけピッチ・リズムがルーズだと上手く馴染みません。

特に全楽器打ち込みで作成されたオケは、機械的にピッチ・リズムが正確なので、しっかり補正しないとボーカルの馴染みの悪さがより顕著です。

ピッチは「Auto-Tune Pro」「Melodyne」などの補正プラグインを使用し、リズムは波形を直接編集するか「Melodyne」のタイムツールを使って補正するのがおすすめです。

ピッチ補正ツールの定番「Melodyne」の下位グレード版です。特に歌ってみたミックスで使用されることが多く、ピッチだけでなくタイム補正もできるので、補正の類をほぼ全てプラグイン上で行えます。

下位グレードながら十分な性能を有し、定期的にアップグレードのセールも行っているので、最初のピッチ補正ツールとしてもおすすめです。

ピッチ補正ツールの元祖とも言うべき「Auto-Tune」の最上位グレードです。波形ツールやペンシルツールなどで非常にスピーディで自由度の高いピッチ補正ができます。

下位グレード版では、ケロケロボイスを作るのに適したオートモードのみに対応しており、細かなピッチ補正ができるグラフィックモードには対応していません。グラフィックモードを使用するなら上位グレードを購入する必要があります。

空間系エフェクトがオケに合っていない

リバーブ・ディレイなどの空間系プラグインの量感がオケに合っていなくて、浮いてしまうことがあります。ふわっとしたウェットなオケに対して、ドライなボーカルだと浮いてしまい、その逆も然りです

かける量を調節しても浮いてしまう場合は、空間系の種類や空間系に施すEQ処理・コンプに注目するとよいでしょう。

適切ではないEQ処理

パラメトリックイコライザー
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基本的なEQ処理が甘いことが原因で、ボーカルが馴染まないことが多いです。数値的な明言は避けますが、中低域のモコっとしたところや、耳に刺さる高域成分をカットすると解決することがあります。また、ローカットやダイナミックEQによる飛び出した帯域のピークカットも有効です。

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ボーカルが浮いてしまうときに有効なプラグイン

ここでは上記のような基本的な処理を施しても、ボーカルが浮いてしまうときに有効なプラグインをご紹介します。

テープシミュレーター

個人的にですが、ボーカルが浮いてしまうときに最も有効なプラグインがテープシミュレーターです。ボーカルに薄くかけるだけで解決することも多く、歌全体にまとまりが出るので使い勝手に優れています。

しかし、インサートするだけで音色が変化する点に注意が必要です。また、そもそもテープシミュレーターの質感が曲に合っていないときは、選択肢から外す必要があります。

エキサイター・エンハンサー

倍音を調整して音抜けを良くするエキサイターやエンハンサーもおすすめです。主に高域を調整してボーカルをシャキッと立たせ、小さい音量でありながら歌を前にすることができます。汎用性が高く、歌ってみたでは特に出番が多いです。

かけ方にもよりますが、攻撃的な音になりやすいので、柔らかいバラード系などとはあまり相性が良くない印象です。

マルチバンドコンプ(サイドチェイン対応)

歌ってみたで使用するカラオケ音源は、1つのトラックなので各楽器の音量を調整することは基本的にできません。そのため、全ての帯域に音がばつんばつんに詰め込まれたオケの場合、ボーカルが入れる帯域がなく、どう頑張ってもボーカルがオケに馴染まないことがあります。

そのようなときに有効なプラグインが、サイドチェイン対応のマルチバンドコンプです。「FabFilter Pro-MB」「Waves C6」などが代表的です。使うには少し行程があるので、使い方を簡単に説明します。例に使用しているDAWはPro Tooolsですが、どのDAWも原理は同じです。

①オケのトラックにサイドチェイン対応マルチバンドコンプ(ここではWaves C6)をインサート

②①のマルチバンドコンプのキー入力とボーカルのセンドを同じ数字にしてバス送りする

③マルチバンドコンプの「Side Chain」を「External」にする

④マルチバンドコンプがボーカルをトリガーとしてリダクションされるので、ボーカルを抜けさせたい帯域の各パラメータを調整してリダクションさせる使わない帯域はバイパスしておく)

こうすることで、ボーカルが入る隙間のないカラオケ音源であっても、ボーカルが鳴ったときだけカラオケの特定の帯域にのみコンプがかかり、ボーカルを自然に抜けさせて馴染みが良くなります。

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まとめ

今回はミックス時のボーカルがオケに馴染まない原因と対処法を解説しました。ボーカルがオケに馴染まない原因はケースバイケースで、必ず同じ理由というわけではありません。この記事を通して、ミックスでお悩みの方にとって少しでも手助けになれば幸いです。

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